「理事に就任し管理会社から修繕積立金の値上げ案が届いたけれど、承諾していいのかわからない。」
「値上げ案の根拠がわからず、このまま総会に進めていいのか判断できない。」
「そもそも管理会社からの値上げ案は拒否できる?」
理事になったばかりで届いた、管理会社からの値上げ提案にお困りではありませんか。
マンションの修繕積立金は5年程度ごとに見直し、必要額を設定し直す必要があります。(参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)
ただし管理会社からの提示額が適正とは限らず、長期修繕計画と積立残高の確認が欠かせません。
本記事では理事に就任された方へ向けて、マンションの修繕積立金の値上げが必要になる理由と適正な金額の見極め方、また値上げを拒否できるのかまで徹底解説します。
また理事として値上げ幅を抑えるため提案できる方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
修繕積立金の値上げが必要な5つの理由
修繕積立金の値上げは「工事費や資材費の上昇」、「長期修繕計画の見直しによる必要額の増加」など5つの理由があります。
修繕積立金の値上げが必要な5つの理由
①工事費や資材費、人件費が上昇した
②当初の積立額が低く設定されていた
③建物や設備の劣化が想定より進んでいた
④過去の修繕工事で予定以上の費用がかかった
⑤滞納により資金の確保が難しい
国土交通省も「長期修繕計画作成ガイドライン」内で、長期修繕計画と修繕積立金の定期的な見直しや値上げを示唆しています。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」)
詳しい値上げの理由を見ていきましょう。
①工事費や資材費、人件費が上昇した
修繕積立金の値上げが必要な理由の1つ目は、「資材費や人件費の高騰」です。
2021年後半以降、建設資材の価格は原材料費などの高騰に伴い上昇しています。
国土交通省の「令和7年版国土交通白書概要」を見ると、建築資材物価指数は2015年を100として139.4に達しており、10年で約4割上昇しています。

(引用:国土交通省「令和7年版国土交通白書概要」)
建設現場の人件費の目安となる公共工事設計労務単価は、2021年3月と比較して2025年3月には約21.8%上昇しています。

(引用:国土交通省「令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)
資材費・人件費の上昇が、マンションの大規模修繕費用を押し上げ、修繕積立金の値上げ提案につながっている原因の一つです。
②当初の積立額が低く設定されていた
修繕積立金の値上げの理由2つ目は、「元々の金額設定が低めに設定されていたから」です。
新築分譲時に「段階増額積立方式」が採用されているマンションでは、入居当初の修繕積立金が低めに設定されています。
「段階増額積立方式」は購入直後の費用負担が抑えられるメリットがある一方、入居後には定期的な値上げが繰り返されるのが特徴です。

実際に国土交通省が行った調査では段階増額積立方式を採用する249事例のうち、計画当初から最終年までに修繕積立金の増額幅は平均約3.58倍にのぼっています。(国土交通省:「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」)
急激な増額による区分所有者の負担を抑えつつ適切な修繕積立金を確保するため、国は令和6年6月にガイドラインを改定しました。
今回のガイドラインの改訂では、均等積立方式で算出した基準を1とした場合に初期額は0.6倍以上、最終額は1.1倍以内に収めるよう示しています。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」)

(引用:国土交通省「『長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント』及び『 マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の改定について~『段階増額積立方式における適切な引上げの考え方』~」)
③建物や設備の劣化が想定より進んでいた
建物や設備の劣化が想定よりも早いと、修繕積が不足し積立金の値上げが必要になる場合があります。
修繕積立金は標準的な劣化を想定した長期修繕計画に基づいて設定されますが、実際はマンションの立地や大規模災害によって異なります。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」ではトラブルや急な値上げが起こらないよう、5年に一度、長期修繕計画の見直しを行うことが推奨されています。
修繕積立金不足や急激な値上げを防ぐために、定期的な点検と計画の見直しを行なってください。
④過去の修繕工事で予定以上の費用がかかった
過去の修繕工事で当初の予算を上回る費用の支払いがあった場合は、修繕積立金の値上げをする可能性があります。
過去に予算を超えた修繕費用を残高積立から支出している場合、長期修繕計画上の予定額とずれが生じているためです。
実際に国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、計画に対して積立金が「不足している」と答えた管理組合は全体の36.6%でした。(参考:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」)
急な修繕工事などで費用が発生した際は長期修繕計画を見直し、早めに収支を立て直しましょう。
⑤滞納により資金の確保が難しい
マンション内で一部の区分所有者の滞納が長期化した場合、修繕積立金の値上げが必要なケースがあります。
各マンションごとの長期修繕計画は「全戸が計画どおり納入する」前提で組まれているため、滞納を考慮した計画ではないためです。
実際に3か月以上の管理費や修繕積立金を滞納している住戸があるマンション数を調べたところ、30.1%と、約3割の管理組合で滞納が発生しているという報告があります。(参考:国土交通省「令和5年度マンション総合調査・管理組合向け調査結果」)
滞納を放置すると管理組合の収入不足につながり、建物の維持管理や修繕計画に影響するおそれがあります。
滞納が判明した場合は、管理会社と連携して督促などの対応を進めましょう。
修繕積立金の値上げ幅が妥当かの判断方法
修繕積立金の値上げ幅が妥当かは、修繕積立金の相場から判断しましょう。
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(以下「ガイドライン」)」では長期修繕計画に必要な工事費の総額平均が示されています。(参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)
ガイドラインを参考に、現在や値上げ後の修繕積立金が同規模のマンションと比べて高すぎないかをまずは確認します。
ご自身でのガイドラインの読み解きが難しい場合は、公的機関の相談窓口の利用も検討してください。
修繕積立金の値上げ幅が妥当かの判断方法
・国土交通省ガイドラインの目安と比べる
・長期修繕計画をチェックする
・工事費の根拠を確認する
・第三者に相談する
国土交通省ガイドラインの目安と比べる
まずは国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)で示されている、修繕積立金額の目安を把握しましょう。
ガイドラインは366件の長期修繕計画を分析し、修繕積立金の平均額を階数・延床面積別に「1㎡当たりの月額」で示しています。
現在の積立額や値上げ案と照らし合わせ、金額が適切かを判断するために利用しましょう。
■ 修繕積立金の目安額(機械式駐車場分を除く)
| 階数/延床面積 | 1㎡当たりの平均月額 | 調査で多く見られた金額帯 |
| 20階未満・5,000㎡未満 | 335円/㎡・月 | 235円~430円 |
| 20階未満・5,000㎡以上10,000㎡未満 | 252円/㎡・月 | 170円~320円 |
| 20階未満・10,000㎡以上20,000㎡未満 | 271円/㎡・月 | 200円~330円 |
| 20階未満・20,000㎡以上 | 255円/㎡・月 | 190円~325円 |
| 20階以上 | 338円/㎡・月 | 240円~410円 |
機械式駐車場がある場合は、駐車場の修繕費を別途1㎡あたりに換算して加算しましょう。
1台当たりの月額修繕工事費 × 台数 ÷ マンション全体の専有面積
■ 計算例
自分のマンションの目安額は、表に記載された1㎡当たりの金額に専有面積を掛けて算出しましょう。
【専有面積70㎡・20階未満・延床7,000㎡のマンションの場合】
70㎡×170~320円=月額11,900~22,400円
平均値で計算すると、70㎡×252円=月額17,640円です。
※専有面積は登記簿や売買契約書、延床面積は管理規約や設計図書で確認が可能です。
ただし算出した数字はあくまで目安で、実際に必要な修繕積立金額は建物の状態や修繕内容によって異なります。
管理会社から提示された金額の値上げ幅が妥当か判断する際の参考として使用してください。
長期修繕計画をチェックする
次に「長期修繕計画」でマンションの個別状況を確認しましょう。
長期修繕計画では、今後予定されている工事の内容や費用、必要な修繕積立金額の見込みを把握できます。(参考:国土交通省「マンション修繕積立金に関するガイドライン」)
全部を確認する必要はなく、以下の4箇所を重点的に確認してください。
①計画期間が30年以上あるか
②大規模修繕が12〜15年周期で設定されているか
③直近の見直しが5年以内に行われているか
④収支グラフで積立金残高の増減を確認する
①計画期間が30年以上あるか。
「長期修繕計画総括表」を見て、計画期間30年以上+大規模修繕工事が2回以上かをチェックしましょう。
計画書の冒頭にある「計画期間:〇年(〇年度〜〇年度)」という表記を確認します。
※総括表ではなく、表紙や作成概要のページに書かれている場合もあります。
計画期間が30年未満だと、大規模修繕や設備更新時に修繕積立金不足になるおそれがあります。
また30年以上の計画期間がある場合も、大規模修繕工事が2回以上含まれているか確認しましょう。
直近の工事だけでなく、長期的な視点を持って計画が立てられているかを把握してください。
②大規模修繕の周期に根拠があるか。
「工事項目別の周期一覧」で、大規模修繕の周期をチェックしましょう。
計画書に「大規模修繕」の項目がない場合は、同時期に実施されることが多い「仮設工事」や「外壁塗装」の周期を確認してください。
国土交通省のガイドラインでは外壁塗装や仮設工事などの参考周期を12〜15年としていますが、マンションの仕様や立地条件、劣化状況によって異なります。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)
周期が長すぎると追加工事が必要になる可能性がある一方、短すぎると、必要のない工事に積立金を使うおそれもあります。
12〜15年から大きく外れている場合は、建物診断の結果や過去の修繕履歴を確認したうえで設定理由を管理会社に問い合わせましょう。
③直近の見直しが5年以内に行われているか
表紙・作成概要や総会議事録で「長期修繕計画」の見直し時期を確認しましょう。
国土交通省のガイドラインでは物価高騰などの市場変化に伴い、長期修繕計画の見直しの推奨期間は5年と示されています。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」)
ただし実態は各マンションによって異なり、国土交通省の調査では長期修繕計画を見直していないマンションが3.7%あるという結果も出ています。

(引用:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」)
長期間にわたり計画が見直されていない場合、現在の劣化状況や工事費が計画に反映されていないおそれがあるでしょう。
値上げ額の妥当性の確認も含め、長期修繕計画の最終見直し時期をチェックしてください。
④収支グラフで積立金残高の増減を確認する
最後に「残高推移の収支グラフ」で残高がマイナスに落ち込む年がないかをチェックしましょう。
残高推移がマイナスになるとは、現在の積立計画のままでは修繕工事を行えないことを意味しています。
今すぐでなくても、不足分を補うために積立金の値上げや一時金の徴収、借入が必要になる可能性があります。
もしグラフがない場合は、「収支計画表」を年度ごとに見てください。
もし残高がマイナスになる年がある場合は、計画を見直しましょう。
区分所有者は、理事長に申し出れば「長期修繕計画書」や「総会議事録」など管理組合の書類を閲覧が可能です。
工事費の根拠を確認する
次に長期修繕計画内に記載されている「修繕工事費」の総額や算定根拠を確認します。
修繕工事費の算定根拠が不明瞭な場合、計画上の金額がマンションの規模や仕様、劣化状況に合っているか判断できないためです。
国土交通省のガイドラインでも推定修繕工事費は、外壁補修や屋上防水、給排水設備の更新などの細かな項目ごとに算定するよう示されています。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」)
修繕工事費の根拠や内訳が不明瞭な場合には、実態と異なる工事費が計画に計上されている可能性があります。
管理会社に単価の根拠や内訳を確認しましょう。
第三者に相談する
修繕積立金の値上げ幅に納得できないときや根拠が不明瞭な場合は、相談窓口の利用も選択肢のひとつです。
相談窓口は自治体の無料相談から有料で受けられる個別相談まで、用途に合わせて選びましょう。
| 相談先 | 費用 | 何ができるか | 向いている場面 | 注意点 |
| 公益財団法人マンション管理センター | 無料 | 一般的な考え方の確認 | 「値上げってどう決まるの?」など基礎ルールを確認したい場合 | 修繕の個別具体的なアドバイスは行っていない。 回答は口頭のみ |
| 自治体の無料相談・専門家派遣 | 無料〜低額 | マンション管理士等による相談 管理組合へのアドバイザー派遣 | 何から手をつけていいかわからない場合 | 自治体によって制度の有無・内容が異なる |
| マンション管理士 | 無料相談〜顧問契約 | 個人の事情に踏み込んだ具体的なアドバイス | 個別の悩みを継続的に相談したいとき | 無料相談は業務受注の入口でもあるので、1か所の意見だけで決めない |
| 管理組合向け専門コンサルタント | 有料 | 長期修繕計画や見積書を専門家が精査し、書面の報告書に仕上げてくれる | 工事費の妥当性を本格的に確認したいとき | 費用がかかる。 コンサル自体の選び方にも注意が必要 |
初回は無料相談の利用がおすすめです。
その後、具体的な書面作成やサポートが必要になった段階で有料のサービスの依頼を検討しましょう。
まずはひとりで抱えずに、相談することからはじめてください。
修繕積立金の値上げは拒否できる?総会決議の流れ

値上げの理由や妥当性が理解できても値上げを受け入れたくないと感じている人もいるでしょう。
修繕積立金の値上げは、総会での決議前であれば反対の意思表示が可能です。
しかし総会で可決され、値上げの決定後は支払いを拒否できません。(参考:国土交通省「マンション標準管理規約」)
本章では値上げに反対できるタイミングと、値上げが決定する総会決議の流れをご紹介します。
反対の意思表示は適切なタイミングで行い、反映できるように努めましょう。
・値上げが決定する「総会決議」の流れ
・値上げへの反対は決議前まで可能
値上げが決定する「総会決議」の流れ
修繕積立金の値上げが決定するまでの流れは以下のとおりです。
長期修繕計画の見直しや管理会社からの通知により、積立金不足が判明する
値上げ幅・時期を検討し、総会議案としてまとめる
※この段階で説明会やアンケートを実施する管理組合もあります。
総会の少なくとも2週間前までに、会議の日時・場所・目的(値上げ議案)を組合員に通知する
マンション標準管理規約 第43条
修繕積立金の額の変更について、普通決議を行う
- 議決権総数の半数以上の出席で総会が成立
- 出席組合員の議決権の過半数で可決
- 欠席者も委任状や議決権行使書で意思表示が可能
マンション標準管理規約 第47条
総会決議で定めた時期から、新しい金額での徴収が始まる
修繕積立金の値上げは理事会で話し合われた後に全住民に通知され、総会決議で決定します。
可決には、総会に出席した組合員が持つ議決権の過半数の賛成が必要です。(参考:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)
参加できない場合は、委任状などで意思を示しましょう。
【参加できない場合の議決権行使方法】
・議決権行使書:議案ごとに賛成反対を記入して提出する
・委任状:他の組合員などに議決権の行使を任せる
・オンライン投票など:管理規約で認められている場合
国土交通省のマンション標準管理規約第46条でも、書面または代理人による議決権の行使が認められています。(参考:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)
ただし実際の手続きは、各マンションの管理規約を確認してください。
値上げへの反対は決議前まで可能
修繕積立金の値上げ案が決議されるまでは反対意思を示せます。
ただし議決で決まった後、支払い拒否はできません。(参考:e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」)
もしマンション修繕積立金の値上げに納得できない場合は、決議前に以下の反対行動で意思を示しましょう。
・理事会や説明会で質問・意見を出す
・総会当日に出席し、反対票を投じる
・総会当日に出席できない場合も、議決権行使書で「反対」の意思を示す
・反対が過半数に達するよう、同じ意見の区分所有者と連携する
決議で値上げが決定後に支払い拒否や滞納を行った場合は、支払い督促や訴訟などの法的措置に進む可能性もあります。(参考:国土交通省「令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)第60条第3項」)
なお値上げを否決しても、マンションの抱える修繕資金不足問題は解消しません。
反対する場合は、代替案とセットで提案すると建設的な議論が進みやすくなるでしょう。
修繕積立金の値上げ幅を抑えるための対処法
総会決議の前に負担を軽減するには、長期修繕計画や積立方法の見直しがあります。
以下では具体的な対処法を3つ紹介します。
・段階的に増額を行う
・修繕工事のコストを見直す
・借入や一時金を利用する
段階的に増額を行う
修繕積立金の値上げ幅を抑えるために検討したいのが、一定期間ごとに段階的に引き上げる「段階増額積立方式」です。

「段階増額積立方式」は当初の設定額が低すぎると、後年に修繕積立金額が足りず急増するおそれがあります。
そのため、国土交通省のガイドラインでは増額幅を「均等積立方式の基準額に対し初期0.6倍以上・最終1.1倍以内」と示しています。(参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)
「段階増額積立方式」を利用しても支払い総額は変わらず、急な増額による家庭へのダメージを軽減できる点が特徴です。
ただし「段階増額積立方式」でも値上げのたびに決議で承認を得る必要があります。
採用する場合は住民全体で仕組みを理解し、長期的な修繕積立金の値上げを受け入れる体制を整える必要があるでしょう。
修繕工事のコストを見直す
修繕積立金の額は修繕工事費を基に決まるため、工事費のコストを抑えると減少する可能性があります。
実際に過剰な工事項目や使用などが上増し請求されている事例も報告されているため、注意が必要です。(参考:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」)
工事費は相見積もりを取り、価格だけでなく施工会社のこれまでの実績を確認しましょう。
見積もりを取る業者の見極めが難しい場合は、管理会社以外の第三者によるコンサル会社の利用も検討してください。
借入や一時金を利用する
最終手段として、借入や一時金の徴収を利用する方法もあります。
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、大規模修繕工事の実施年度に修繕積立金が不足する場合、一時金や借入れなどによる対応が必要と示されています。(参考:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)
| 借入 | 一時金 | |
| 概要 | 工事費を借り入れ、工事後に分割して返済する方法 | 工事の前に、一戸あたり数十万円をまとめて集める |
| 値上げ回避の可否 | 一時的に値上げを抑えられるが、返済のために値上げが必要な可能性がある | 場合による。 一時金を支払った後、積立額の見直しが行われる場合もある |
| 追加費用 | 利息や保証料がかかる場合がある | なし |
| 最大のデメリット | 返済中は将来の修繕費を貯めにくく、次回の工事で資金不足になるおそれがある | 一括で払えない世帯が出やすく、総会の賛成を得るのが難しい |
(※借入の民間融資の条件は、金融機関によって異なります。)
借入や一時金を利用すると修繕積立金の値上げは避けられますが、借入では利息の発生で支払い総額は増加する可能性があります。
借入や一時金の利用は支払いの先送りで根本的解決にはならないため、できる限り利用を避けましょう。
修繕積立金の値上げに関するよくある質問
理事会の一員として確認する立場では、管理会社からの修繕積立金の値上げ提案に戸惑う場合もあるでしょう。
ここでは理事としての修繕積立金の値上げ対応に関するよくある質問をまとめました。
・管理会社の値上げ案をそのまま採用しても大丈夫ですか?
・修繕積立金が不足すると、何が問題ですか?
・修繕積立金の値上がりで支払いが難しい場合はどうすればいいですか?
管理会社の値上げ案をそのまま採用しても大丈夫ですか?
管理会社の提案を、根拠も確認せずそのまま採用するのはおすすめできません。
管理会社が修繕会社の発注先選定にも関与する場合、工事費を高く見積もる利益相反が生じる可能性wo
国も留意しているためです。(参考:国土交通省「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化について(通知)」)
長期修繕計画と積立残高を照合し、値上げ額の根拠を確認してください。
▶︎##修繕積立金の値上げ幅が妥当かの判断方法
修繕積立金が不足すると、何が問題ですか?
修繕積立金が不足すると、必要な修繕工事を実施できず建物の劣化が進むおそれがあります。
修繕積立金不足のマンションは今後大幅な値上げや一時金の徴収が予想されるため、売却時は買い手に敬遠される傾向があります。
また売却の予定がない場合でも、劣化した建物に暮らすストレスは避けられません。
マンションの市場価値や快適性を維持するためにも、修繕積立金は重要です。
修繕積立金の値上がりで支払いが難しい場合はどうすればいいですか
理事として「修繕積立金の支払いが難しい」と相談を受けた場合は、管理組合への連絡を勧めましょう。
今後滞納が続くと遅延損害金や督促費用が加算され、最終的には訴訟などの法的措置を取られるおそれがあるためです。
<支払いが難しい場合>
1.管理組合に相談する
2.家計、住宅ローンの見直しを行う
3.解決しない場合は、自治体の生活相談窓口や法テラスなどで債務相談をする
4.どうしても維持できない場合は売却を検討する
一人で抱え込まず、支払いが苦しいと感じ始めた段階で、早めに管理組合へ相談してください。
修繕積立金の値上げは”根拠”を確認してから判断しよう
修繕積立金の値上げ案が出たら、まず「なぜ必要なのか」根拠を確認することが大切です。
管理会社から提示された値上げ額は妥当とは限らず、工事費の見積もりに過剰な項目が含まれているケースもあるためです。
確認すべきポイントは以下の4点です。
・長期修繕計画
・収支計画
・工事費の内訳
・値上げ後の積立額
上記を確認しても判断が難しいと感じる場合は、マンションの大規模修繕に特化したコンサルティング会社に相談しましょう。
お客様と一緒に計画や内訳を読み解き、プロ目線で適正な修繕積立金額の判断を支援します。
マンションの修繕積立金の値上げや大規模修繕にお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

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